「うる星やつら」の博物誌

テレビアニメ 第123話 大金庫! 決死のサバイバル!!
(TV オリジナル)



登場人物

・面堂終太郎
・諸星あたる

場所 面堂邸 面堂の金庫の中

アイテム
・あたるの食べているたこ焼き
・面堂終太郎のメモ帳
・面堂終太郎の戦車などのコレクション
・金庫(終ちゃんの玉手箱)(超合金面堂スペシャル)
・金塊
・面堂終太郎の10センチの上げ底靴
・金網

キーワード
・夕日のバカヤロー

あらすじ

面堂は、自分との違いを見せ付けようと、あたるを自宅へと招き、色々なコレクションを見せびらかす。しかし、あたるはそれらに興味を示さない。そこで面堂 は、金庫の中を見せるのだが・・・・


今回の話は、登場人物が、あたると面堂だけという、テレビシリーズの中でも特異な話なのですが、それは当時、映画「ビューティフルドリーマー」の公開が間 近に迫っていたために、スタッフも声優もテレビにあまり手が回らなかったためだそうです。

参照 萌え萌えアニメ日記

更に、「萌え萌えアニメ日記」によれば、この話のネタに、アンジェイ・ワイダ監督の「地下水道」が使われているとのことです。

なるほど言われてみれば、そんな感じがしました。ちなみに僕が、うる星やつらの地下水道のシーンを見て、まず頭に浮かんだのは、筒井康隆の、「脱走と追跡 のサンバ」でした。

ルーシー・ショー

ルーシーショー
ルーシーと、その上司のムーニーさん


ところで、今回の「大金庫! 決死のサバイバル!!」 のあたると面堂が金庫に閉じ込められるシーンは、アメリカのコメディードラマ「ルーシー・ショー」 から採られています。と、いうよりも今回は、「ルーシー・ショー」の「うる星やつらリメイク版」と言った感じです。

それは、ルパン三世が、イタリア映画の「新・黄金の七人」をリメイクしたのに似ています。が、ルパン三世の方は許可をとっているでしょうが、うる星やつら の方はもしかすると・・・・

うる星やつら 
大金庫! 決死のサバイバル!!
ルーシー・ショー 
Lucy Gets Locked in the Vault 
邦題 
マカロニを食べましょう
顔にチョコレートがいっぱい

あたるが、「夕日のバカやろう」と叫んだせいで、
大金庫がロックされてしまう。

銀行に勤めるているルーシーは、その不注意で、
上司のムーニーさんと二人で金庫に閉じ込められる。


面堂は、最初あたるの食べていた、「たこ焼き」を
バカにしていたが、腹が減って食べたくなる。

ムーニーさんは、ルーシーが、生のマカロニを食べ
るのをバカにしているが、腹が減って、マカロニを
大金で買う。

面堂は、たこ焼きが欲しくて、金塊を賭ける。

ルーシーとムーニーさんは、金庫のお金を使って
賭けをする。


外に出られたと思ったら、ここにも、超合金面堂スペ
シャルの金網があって出られない。

金庫の中で一晩過ごして、やっと出られたと思ったが、
ルーシーがまたもや、金庫を閉めてしまい、再び金庫
に閉じ込められてしまう。

ルーシー・ショーについての資料は意外と少なく。ずいぶんと昔に見たときの記憶をもとにしていますので、不正確かもしれません。

参照サイト The Lucy Show

邦題などについては次のサイトで教えていただきました。ありがとうございました。
WE LOVE LUCY!  LUCILLE BALL FAN SITE

言葉の偶然の一致


あたる: なんちゅう悪趣味な絵なんだ。こういうのを見ると叫びたくな るな。

面  堂:  こらこら叫ぶなよ、キーワードがあるんだから。キーワードを叫んだらロックしてしまうぞ。

あたる: 夕日のバカヤロー


金庫が施錠されてしまう。

キーワードにより扉が閉まるという話で、真っ先に思い浮かぶのは、アラビアンナイトの、「アリババと四十人の盗賊」だと思います。話の内容は次のようなも のです。


ある日のこと、アリババは、40人の盗賊が岩穴に入って行くのを見かける。「開けゴマ」という言葉で、岩の扉が開き、「閉じろゴマ」で岩の扉が閉まる。ア リババは、盗賊がいなくなった隙に、そこへ忍び込み、金を手に入れる。

アリババが金持ちになったこと知った兄のカシムは、その方法を尋ねる。アリババは盗賊の岩穴のことを教えてやる。兄のカシムは、アリババに言われた通りに 呪文を唱え、岩穴へと入ったのだが、金銀財宝を目の当たりにして、帰りの呪文を忘れてしまう。そして、カシムは盗賊に見つかって殺されてしま う。・・・・・


というような話ですが、この話はグリム童話に、「ジメリの山 (Simeliberg)」として取り入れられています。

なぜ、グリム童話では「ジメリの山」という題名になったかというと、それは「開けゴマ」という呪文に由来します。アラビア語で、ゴマは、simsim というそうで、その音がそのままドイツに持ち込まれて、Semsi (ゼムジ) となったようです。

ですから、本当の呪文は、「Berg Semsi, Berg Semsi, tu dich auf. (ゼム ジの山、ゼムジの山、開け。)」となっています。しかし、欲張りな兄は、その呪文を忘れてしまい、「Berg Simeli, Berg Simeli, tu dich auf.  (ジメリの山、ジメリの山、開け。)」 と間違った呪文を唱えて出られなくなり、盗賊に見つかって殺されてしまいます。ここから、「Simeliberg ジメリの山」という題名となりました。

しかし、これは、グリム童話だからこうなっているだけで、アラビアンナイトのドイツ語版では、「Sesam, offne dich! (開け胡麻)」となっているようで、日本と同様に、扉を開ける魔法の呪文として、慣用句になっているようです。


うる星やつらでは、あたるは、たまたまキーワードと一致した言葉を叫ぶのですが、類話としては、グリム童話の「ものしり博士」が有名です。


「何でも知っている学者」と称している「カニ」という名前の男が、ある人から、「この蓋のしてある皿の中に、何があるか言い当ててみろ?」と試されたとき に、「ああ、このカニも年貢の納め時か・・・」と言ったところ、皿にはカニがあったため、「やはり偉い学者さんだ」ということになる。


この場合は、偶然に言葉が一致してうまく行くという話しですが、偶然に一致した言葉により、不幸になるという話もあります。その代表例は、筒井康隆の「熊 の木本線」という小説があります。

最近では、オーシャンズ12 にこんなシーンがありました。



イタリアのマツイという、泥棒筋では有名な男とは、隠語で語り合わなければ
ならない。隠語を知らない、新米のライナスは、何か言わなければと、
レッド・ツェッペリンの「カシミール」という曲の歌詞を口にするのだが・・・・・その
言葉を聞いて、マツイは顔を強張らせる。

Oh let the sun beat down upon my face,
stars to fill my dream
I am a traveler of both time and space,
to be where I have been
太陽が僕の顔を照らし、
星々は僕の夢に溢れる。
時間と空間を僕は旅し、
僕はあの懐かしい場所にいる。

この叙情的な詩も、隠語としての解釈では、マツイの姪を大変侮辱するものであった・・・・・。

参照サイト Kashmir  

夕日のバヤカロー

あたるは、「夕日のバカやロー」と叫んでいるのですが、もしかすると、現在では、これの"何"が面白いのか? 分からないかもしれません。

一昔前の学園ドラマ「ゆうひが丘の総理大臣」や「あさひが丘の大統領」 などでは、・・・・しょっちゅう浜辺を走りながら、夕日に向かって大声で叫んでいたのです。(日テレ系) 

うる星やつらの大金庫は、1984年放送で、1980年までのそういった、学園ドラマが古臭く思えた時代だったようです。この後、学園ドラマは、「金八先 生」などのTBS系のドラマがヒットすることになります。


2005/03/11日
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