「うる星やつら」の博物誌

原作 コミックス14.04 ワイド版 06.24 ビン詰めの誘惑!!
原作 コミックス14.05 ワイド版 06.25 食べれば恐怖!!
テレビアニメ 第92話 ビンづめレター海辺の怪!



主な登場人物

場所 夕方の磯辺
・ラム
・テン
・あたる
・しのぶ
・面堂

アイテム
・ビン詰めの手紙 (海に浮いているのをテンが見つける)

場所 海辺の旅館
・旅館の主人
・旅館の従業員 3人

アイテム
・ビン詰めの手紙 (大浴場のお湯口から流れ出たのをあたるが見つける)
・ビン詰めの手紙 (自動販売機から出てきたのを面堂が見つける)

・抜け駆け防止の紐
・抜け駆け防止の鳴子

場所 シャコ貝の入り江 ぺんしょん  しゃこ
・美しい女性
・老婆
・大男

あらすじ

あたる、ラム、面堂、しのぶ、テンの五人は、海へ遊びにやって来る。そこでテンは、海に浮かんでいるビン詰めの手紙を見つける。その後あたるは、大浴場の 湯口か ら、面堂は自動販売機からそれぞれ、ビン詰めの手紙を見つける。

手紙は女性からのもので、「シャコ貝の入り江」へと誘うものだった。あたるは、「そこには、化物が居るのだ」という、宿屋の主人の忠告に従わず・・・シャ コ貝の入り江へと向かう。

あたるたち一行が、シャコ貝の入り江へとやって来ると、美しい女性が待っていて歓迎される。そして一堂は、「ぺんしょん しゃこ」 へと誘い込まれるのだ が・・・・


今回の話はどうもいつもと違い、怪奇的な重苦しい雰囲気が漂っているように思います。

瓶詰地獄 夢野久作

まず、三つの瓶に入った手紙というモチーフから、夢野久作の「瓶詰地獄」が思い浮かびます。・・・話の内容は、

「船が難破して、兄と妹の二人だけが、無人島に流され、そこから脱出するために、手紙を一つまた一つと瓶につめて流す・・・」

というようなものです。

参照サイト 青空文庫 夢野久作 瓶詰地獄

ユービック フィリップ・K・デック


湯口からビン詰めの手紙が流れ出す。


自動販売機からビン詰めの手紙が出てくる。

次に、大浴場の湯口や自動販売機から、ビン詰めの手紙が出てくるというモチーフですが、この不可解さは、フィリップ・K・ディックの「ユービック」 を彷彿とさせます。ユービックの場合、最後にその謎が解けるのですが、うる星やつらでは、理由の説明がないままで、シュールな不安を演出しています。

ちなみに、押井守監督の映画「ビューティフル・ドリーマー」もユービックの影響を受けているのは間違いないと思います。(ビューティフルドリーマーでは、 崩壊した世界で、コンビニだけが機能している理由が、後から解き明かされています。)

新ジュスティーヌ マルキ・ド・サド

さて、話の内容ですが、「宿屋に来た者を襲う」 という話は、マルキ・ド・サドの「新ジュスティーヌ」の「森の中の宿」の話を想起させま す。

正しい心を持つジュスティーヌは、悪人のデステルヴァル夫人に騙されて、とある宿屋で働かされることになります。

その客室には、落とし穴の仕掛けがあり、泊まった客は、罠にかけられて、殺されてしまいます。

ジュスティーヌは心ならずも、その手伝いをさせられてしまうのです。

注文の多い料理店 宮沢賢治



しのぶが風呂に入ると、湯舟はカツオダシになっており、風呂から
上がると、塩・メリケン粉・バターをすりこむようにと書かれている。

これは、宮沢賢治の「注文の多い料理店」ですね。

参照サイト 青空文庫 宮沢賢治 注文の多い料理店

魚の頭だけが残る



老婆: 
あんたらに、マグロの刺身食わせてあげようと、
とりにいったんじゃが、途中で、頭だけになっちまうし・・・。

これは、老婆がマグロの身の部分を食べてしまったということを暗に示しているのですが、これに似た話があります。

11ぴきのねこ  馬場のぼる こぐま社


11ぴきのねこたちは、巨大な魚を捕まえる。
そして、みんなに見せるまでは、絶対に食べないことにする。


夜が明けたら、魚は頭だけになっている。

フィンランドの昔話にも次のようなものがあります。

フィンランドの昔話

 老人が、イタチを捕まえるために、罠を仕掛けたが、自分でその罠にかかってしまい、頭を打って死んでしまう。それを見たイタチは、この老人を棲家へ運ん で食 べようとする。しかし重くてなかなか運べない。そこで、リス、ウサギ、キツネ、オオカミ、クマ、に手伝ってもらうのだが・・・・棲家に着く前に、老人は食 い尽くされて、大きな動物は、小さな動物を食べようとする・・・・。


番外

壊れたレコード

TVアニメでは、テンが、「あなたが好きよ逢いたいわ、あなたが好きよ逢いたいわ・・・・」と、拾った手紙の文面を何度も繰り返していると、面堂が、「まっ たく、壊れたレコードでもあるまいし」と言うのですが、レコードを知らない世代の人には、それがどういうことなのか分からないと思いますので、補 足します。

レコードというのは、丸いレコード盤に、一本の溝がついていて、その溝の上に針を置いて、音を拾うのですが、この溝にキズが入ると、そのキズから先へ針が 行けなくなってしまい、同じ一周を何度も何度も繰り返すことになります。

このことから、同じ言葉を繰り返すことを、壊れたレコード と言うのです。この説明で理解できたでしょうか? ちょっと説明が悪かったかも しれません。

湯口からの眺め


ルパン三世 カリオストロの城 水取り口ごしの銭形警部


湯口ごしの面堂


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2005年5月21日 服部和正



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