「うる星やつら」の博物誌

原作 04.02 ミス雪の女王
テレビアニメ 第八十一話 ミス雪の女王キッスを奪え!


おもな登場人物

・諸星あたる
・テン
・ミス雪の女王
・ウドの大木
・ラム
・汁夫(つゆお)
・麺子(めんこ)
・雪男

アイテム
・宝探しの賞品のラジカセ
・お守り

場所 スキー場。


あらすじ

あたるとラムとテンが、スキー場へやって来る。そこで、宝探しコンクールがあり、優勝者には、豪華な ラジカセと、ミス雪の女王のキッスがもらえると いう。

あたるは、ミス雪の女王のキッスを目当てに、宝探しに参加しようと思うのだが、司会者が雪の女王を紹介したときに、ウドの大木のような大男に、遮られて、 あたるは、雪の女王を見ることができない。

レースでは、あたるテンと、ウドの大木の三人がデットヒートを繰り広げ、結局あたるが優勝するのだが・・・・。


この話しは、「勇者は競争に勝ち抜き、王女を勝ち取る」という話しの典型です。

これを踏まえて、テレビアニメでは、「メガネ」「面堂」「しのぶ」に次のような台詞があります。

メガネ:
邪悪なドラゴンに襲われる女王を勇猛果敢に助け
出す騎士となるのだ。
面堂:
女王は王子の口づけで現実に目覚める。
とても暗示的だとは思わないか、諸星。
しのぶ:
御伽噺には口づけを邪魔する魔女も出て来るけど。


三枚のお札

「このコースは危険がいっぱいだっちゃ、危ない時には、
中の三つのカプセルがダーリンを守るっちゃよ」
と、言って、お守りをあたるに渡すラム。

原作では、お守りだけで、三つのカプセルは出てこない。

これは、有名な日本の昔話の、「三枚のお札」からとられています。

三枚のお札

ある寺の小僧が、和尚さんに、

  「山で栗を拾ってきたい」と言った。和尚さんは

  「山姥が出ると大変だから、 もしもの時はこれを使え」と、三枚のお札を渡した。

 小僧は山で栗拾いに夢中になり、日が暮れるのも忘れていた。 するとそこへ、お婆さんがやって来て、

  「家に泊まって行け」と誘った。小僧はお婆さんの家に泊めてもらうことにした。

 夜になると、雨が降ってきた。雨だれの音を聞いていると、「婆の顔を見ろ」と鳴っている。

小僧は、起き上がって、障子の隙間から覗いてみると、それは山姥だった。

 小僧が逃げる口実に、便所に行かせてくれと頼むと、山姥は小僧の腰に綱をつけてしまう。 そこで、小僧は綱にお札をつけて、お札に返事を頼む。

 すると山姥が尋ねるたびに、お札が、「まだ、まだ」と答えてくれる。
 
 山姥がしびれをきらして、綱を引っ張ると、便所の柱が倒れてきた。

「よくも逃げたな」山姥は、小僧のあとを追いかけた。そしてすぐに、小僧に追いついた。

「砂山よ出ろ」小僧がそう言ってお札を投げた。すると、大きな砂の山ができて、山姥の行く手をさえぎった。しかし、山姥は砂に足を取られながらも、山を乗 り越えて、また追いかけて来る。

「大きな川出ろ」小僧がそう言ってお札を投げると、今度は大きな川が、山姥の行く手をさえぎった。しかし、山姥はその川をバヂャバヂャ泳いで渡り、また追 いかけて来る。

 小僧は、何とかお寺にたどりつき、門の中に走り込む。そこへ、山姥がやって来る。

「今、ここに小僧が来なかったか?」

「さあ、知らぬな」和尚はそう言って、餅を焼き始める。山姥は、腹が減っていたので、餅をくれと言う。すると和尚は、

「化け比べをして勝ったらやる」と言い、「ずんと、大きくなれるか?」と尋ねる。

「そんなの簡単だ」山姥はそう言うと、ずんずん大きくなって行く。和尚は、さも感心したふりをして、

「流石は、山姥だ。だが、豆粒みたく小さくはなれんだろう」と言う。

「そんなの簡単だ」老婆はそう言うと、ずんずん小さくなって、豆粒くらいになってしまった。すると、和尚は、山姥を餅にくるんで、パクリと食ってしまっ た。

ラムのくれたカプセルを投げる あたる

一つ目は、「川よ出来ろ」
二つ目は、「宝の箱いっぱい出ろ」
三つ目は、「雪崩出ちゃえ」

これに似た話は、古事記にもあります。


古事記 黄泉の国

イザナミの命が火の神を生んだので、それで死んでしまった。イザナギの命は、悲しんでイザナミの命を 迎えに、黄泉の国へと向かう。

イザナギの命がやって来ると、イザナミは、「私はすでに黄泉の国の食べ物を食べてしまいました。しかし、なんとか帰りたいと思います。黄泉の国の神様に相 談して参ります。その間わたくしをご覧になってはいけません」

と言って、御殿の内に入って行った。しかし、なかなか出てこないので、イザナギの命は、櫛の歯を一本かいて火をつけて見てみると、ウジがわいてゴロゴロ 鳴っており、体中に雷が居た。

そこで、イザナギの命が逃げ出すと、イザナミの命は、「わたしに恥をかかせた」と言って黄泉の国から魔女をやって追わせた。

イザナギの命は髪につけていた黒い蔓の輪を取ってお投げになったので野ブドウが生えて実がなったので、それを魔女が取って食べる間に逃げた。

しかしまた追いかけて来たので、櫛の歯を欠いて投げるとタケノコが生えた。それを魔女たちが抜いて食べている間に逃げた。

すると、イザナミの命は、身体中に生じた雷の神たちに黄泉の国の魔軍をつけて追わせた。

そこで、長い剣を抜いて後ろに振りながら逃げ、黄泉比良坂(よもつひらさか)の坂本まで来たときに、そこにあった桃の実を三つとって撃った。するとみな逃 げて行った。

最後にイザナミの命が追って来た。黄泉比良坂(よもつひらさか)を大きな岩石で塞ぎ、その石をはさんで相対し、離別の言葉を交わした時に、イザナミの命が 言った。

「あなたがこんなことをされるなら、わたしはあなたの国の人間を一日に千人も殺してしまいます」

するとイザナギの命が、「あなたがそうなされるなら、わたしは一日に千五百も産屋を立てて見せる」と言った。

こういう次第で一日にかならず千人死に、一日にかならず千五百人生まれるのだ。


この他、魔法のアイテムで追跡者を引き離す、という話は世界中いたるところにあります。

グリム童話の「王様の子供二人」や「水の魔女」・・・etc.

ブルガリアの民話や、イギリスの民話など・・・・ 原作 01.01 かけめぐる青春 でも紹介した、変身物語「アタランタとヒッポメネス」もこの系譜に 属するといえるでしょう。

2004/01/24
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