「うる星やつら」の博物
誌
原作 コミックス 03.02 ワイド版 01.17 ディスコ・インフェルノ
テレビアニメ 第二十三話 恋のバトルロイヤル
主な登場人物
・諸星あたる
・ラム
・サクラ
・あたるの母
・尾津乃つばめ
・錯乱坊
・サバトの牡山羊
・レイ
・すうぱあばっとまん
・クラマ天狗
・その他妖怪多数
・場所 ディスコ
あらすじ
あたるの家にサクラがやって来て、ラムとあたるをディスコへ誘う。途中、サクラの恋人の尾津乃つばめも合流し、四人はディスコへと向か
うのだが、そ
こには、錯乱坊が待っていた。
実はここはつばめの霊力を試す試験会場だった。サクラと結婚するにはそれなりの霊力がなければならぬのだ。西洋帰りのつばめは、人々の熱気を利用して霊力
を高めようと、ディスコを試験会場に選んだのだ。
サバト(魔女集会)について
尾津乃つばめは、その霊力を高めるために、ディスコを試験会場に選んでいるのですが、これは、ディスコと魔女集会(サバト)とを同一視
しているので
す。
このような考え方は、永井豪の漫画「デビルマン」に既に見られます。そしてこの考えの大元となっているのは、恐らく澁澤龍彦の「黒魔術の手帖」という本で
はないかと思われます。澁澤はこの本で、サバトに参加する人々のことを、「さしずめビート族といったところだろう。」と述べています。
「ビート族」とは何かといえば、これは1950年代のヒッピーの前身のようなものです。詳しくは、1999年に公開された、ビートニクという映画をご覧下
さい。
では、サバトとは何かというと、それは真夜中に魔女たちがホウキに乗ってやってきて、悪魔を礼拝して、おどろおどろしい儀式をする集会のことです。この集
会場として一番有名な場所が、ブロッケン現象で知られる、ドイツのブロッケン山と言われています。
魔女集会(サバト) ジァルンコ作 「魔女狩り」より
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デビルマン 1巻 永井豪&ダイナミックプロ 講談社漫画文庫
このサバトの様子を見て、主人公の不動明は、
「まるでゴーゴークラブじゃないか」と言う。 |
サバトについては、「黒魔術の手帖」澁澤龍彦・河出文庫/「魔女狩り」森島恒夫・岩波新書 などが読みやすいですが、あまり深入りしないよう・・・・。
邪神バホメットについて
先にサバトでは、悪魔を礼拝すると言いましたが、その悪魔の代表的なのが、バホメットです。うる星やつらでは、「サバトの牡山羊」と呼
ばれています
が、実はこれは、両性具有の悪魔です。
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バホメットが、かなり丁寧に模写されている。
背景の月や、腕の文字まで描かれている。 |
つばめの顔に浮かびあがるバホメット。 |
両性神バホメット 「黒魔術の手帖」より
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中世のタロット
「錬金術とタロット」
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Necronomicon I H.R.ギーガー
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右手には、「Solve」
左手には、 「Coagvla」
と書かれている。
「溶解」と「凝固」という二つの対立する
概念をあらわしているのだろうか? |
腕には、SOLVE COAbULA
とあるが、COAbULA のb
の字は、Gの文字がひっくり
返っているために、bに見え
るのだろう。
前にいる二匹の悪魔は、
男を堕落させる色魔
(INCUBUS)
女を堕落させる色魔
(SUCCUBUS)
だろうか? |
ギーガーは、エイリアンの美術を
担当した。 |
バホメットは、イスラム教の開祖のマホメットからとられていると言われていますが、はっきりしたことはわからないようです。
現在では、キリスト教徒が他教徒を冒涜するようなことはないでしょうが、昔は他教徒を冒涜するようなことが平気で行われていたようです。
例えば、ダンテの「神曲」はイタリアを代表する文学作品ですが、この中でも、マホメットは地獄の最下層近くで苦しんでいることになっています。
河出文庫の「黒魔術の手帖」の表紙は、左端のバホメットが用いられています。また、国書刊行会のラブクラフト全集の箱にも同じバホメットが描かれていま
す。そういえば、村上春樹の「羊をめぐる冒険」の額に星のある羊は、案外このバホメットがモデルなのかもしれません。
2003/09/21日
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