呪泉郷三原則


2007年04月14日

らんま1/2 熱闘編 第30話 呪泉郷から来た殺し屋 
フジテレビ 高橋留美子

らんま1/2 熱闘編 第30話 呪泉郷から来た殺し屋

呪泉郷には、呪泉郷風紀委員というのがあるそうで、呪泉郷の呪い的泉に落ちて姿を変えた人たちの、その後の生活を指導するのが、彼らの最も大切な役目だそ うです。

そして、呪泉郷風紀委員が人々を指導するに当たり、よりどころとするのが、呪泉郷三原則 です。

呪泉郷三原則

呪泉郷の三原則その1
呪泉郷の呪い的泉に落ちて、変身能力を持った者は、それを悪用してはならない。

呪泉郷の三原則その2
呪泉郷の呪い的泉に落ちて、変身能力を持った者は、その能力で人に危害を加えてはいけない。

呪泉郷の三原則その3
呪泉郷の呪い的泉に落ちて、変身能力を持った者は、その1、その2の原則に違反しない限り、変身能力を使用してもよい。



これは、アイザック・アシモフの、ロボット三原則のパロディですね。

ロボット三原則 われはロボット アイザック・アシモフ 小尾芙佐訳 早川書房

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。

第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。

第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。



以下、2007/5/13日追加

このロボット三原則は、色々な作品で、ロボットの前提条件になっていることが多く、最近では、イノセンス でもこの三原則が使われていました。

イノセンス 監督:押井守 原作:士郎正宗
イノセンス 監督:押井守 原作:士郎正宗

ミス・ハラウェイによれば・・・
ガイノイドたちは、自ら故障することによって人間を攻撃する許可を作り出す。ただし、その論理的帰結として、倫理コード第三項からも解放される。



ロボット三原則は、ロボットが人間に危害を及ぼさないようにするための原則ですが、しかしそれは、「殺人や戦争にロボットを使わせないようにするための原 則」というよりも、「ロボットが人間にとってかわって、この世界を支配することを、防ぐための原則」という意味合いが強いように思えます。では、なぜこの ような原則が必要になったかというと、それはロボットの発生に理由があるように思えます。

一般にロボットといえば、電子部品で作られれているというイメージがありますが、1920年にチェッコのカレル・チャペックという作家が、初めてロボット という言葉を使った、「R.U.R」という作品では、ロボットは機械仕掛けではなく、現在でいうならば、バイオテクノロジーのような技術を用いて、生成さ れた準人間というような存在だったのです。そして、そのストーリーは、人間に使われていたロボットたちが、反乱を起こして、人間を殺戮する・・・というよ うな展開になっています。

チャペックの描いた準人間であるロボットは、視点をちょっと変えれば、奴隷とまったく同じに見えます。西洋では、古代ギリシアの時代から延々と、奴隷社会 が続いていたようですが、もしかすると彼らには奴隷の反乱への恐れが、潜在的にあったのかもしれません。(チェコなどのスラブ人は、奴隷とされることも あったようですが)

ターミネーターやマトリックスなどの、機械に対する恐れは、もしかすると、奴隷の反乱に対する恐怖が、その根底にあるのかもしれません。このような観点か らすると、ロボット三原則というのは、理想的な奴隷が守るべき原則というようにも見えます。

ところで、話は変わるのですが、ロボット三原則と、日本国憲法の第九条は、とてもよく似ているように思えます。と言いますか、第九条の方が、ロボット三原 則よりも更に厳しい内容になっているように思えます。

日本国憲法第九条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、 永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

この解釈の仕方には色々と難しい問題があるそうですが、まあ、この文章を普通に読むならば、

第一条 日本国民は、戦争をしてはならない。
第二条 第一条の目的を達成するために、日本国民は、軍事力を持ってはならない。
第三条 第一条の目的を達成するために、日本国民には、戦争をする権利は認められない。

というような感じになると思います。これとロボット三原則を比べてみると・・・

ちなみに、僕は政治的なことにはまったく興味がありません。第九条も他の話がそうであるように、比較対象としてたまたま視野に入っただけです。

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